南アルプス・大曲から塩見岳 往復

大曲付近の三峰川の様子  南アルプスの三千m峰を全て登ろうと思い立ち、二年前の会の合宿で白峰三山を縦走した。
   翌年には、ウエストンも登った赤石岳に小渋川から百間洞経由で赤石岳と荒川三山を計画したが、残念ながら福川から百間洞のルートに手こずり、時間切れで目前の荒川三山には登れなかった。
   今年も、小渋川から荒川三山を再計画したが、台風の影響で小渋川が増水して行くことが出来なかったので、南アルプスでは位置的に登りにくい塩見岳に行き先を変更して登りました。
   伊那側からのルートでは、鳥倉林道から三伏峠経由が一般的ですが、距離が少々長く日数も掛かる事を考え、三峰川の大曲から直接塩見岳へ登る「塩見新道」を選んだ。
 このルートは、塩見小屋へ物資を運び上げる荷揚げ道として小屋の人達が利用していたもので、国土地理院の地形図には載っていないルートである。
 勿論利用する人も少なく静かな山旅には打って付けのルートであるが、主稜線に出るまではただひたすら登りが続き、樹林帯の中で展望も殆ど望めない。
 

巫女淵の延命水  南北に長い南アルプス、三千m峰の仙丈が岳にその源を持つ三峰川が、塩見岳とを繋ぐ仙塩尾根に沿って南流し、塩見岳に遮られ流れを北に転じる所が「大曲」と呼ばれており、林道も流れに沿って付けられている。
 今回は、残念ながら乗り入れ可能な大曲ゲートまで車で入ることが出来ず、余分に歩くこととなった。大曲には立派な駐車場がありテントサイトも広く泊まるにはもってこいの場所です。
 ゲートをすり抜け左岸沿いに歩くと「延命水」と云う岩の割れ目から滴り落ちる清水があり喉を潤す。
 この辺りは何か曰くありげな名前の「巫女淵」と呼ばれる三峰川のミニゴルジュ帯で、台風の影響か水は白く濁りゴウゴウと音を立てて流れ降っている。
 小渋川もきっとこれと同じ状態だろうと思うと、変更したのは正解でした。

塩見新道登山口と丸木橋  時間にして50分程で大黒沢出合いの塩見新道登山口に到着、堰堤の前の沢を渉る丸木橋は、台風の影響で流されているのではと心配したが健在で対岸へ簡単に渡り一本立てる。

 三峰川の左岸を赤テープに導かれて辿るのだが、高巻いたりへつったりの杣道で僅かの距離に時間をとられる。
 やっと広い河原にでると右の急斜面に道は続いていた。ガレの斜面をジグザグに辿るのだが、崩れる足許に気を遣いながら急登に次ぐ急登が続く、40kgや50kgの重い荷物を担いでこの斜面を登る山小屋の人達はさぞや大変だったろうと思う。

 やっと尾根にでるが、この尾根道もやはり急登が続き平坦な所は全くなし。
 赤テープも要所要所にあり迷うことはないが聞きしに勝る尾根道でした。
 高度が上がるに従い周りの展望も木々の間から望まれるようになり気分も和らぐ。

権右衛門山稜線から塩見岳遠望  やがて初雪を纏った南アルプスの山々が遙か彼方に望まれるようになると、登山道にも霜柱や雪が現れ長かった尾根道も2682mの権右衛門山を巻くようになり、針葉樹林帯を抜けると三伏峠からの道に合流、最後の一登りで2766mの塩見小屋に到着。
 今年最後の連休とあって大勢の登山者が展望を楽しんでいた。

 素泊まりの手続きを済ませ、空荷で3047mの塩見岳のに登る。
 小屋の裏手から森林限界を超えた尾根道を辿り、天狗岩の岩峰を絡むと塩見岳西峰に到着。
 三角点はここに在り、僅かに高い塩見岳東峰まで足を伸ばし目の前に広がる展望を満喫する。

雲から顔を覗かす富士山(塩見岳東峰)  生憎午後3時を過ぎ、湧き出す雲に遮られ富士山の姿は頭が僅かに望めるのみ。風もあり気温も下がってきたので小屋に戻る。

小屋に戻ってビールで乾杯、流石にこの時期、夕方外での食事は辛いものがある。
 ビールで体が冷えて羽毛のベストを着込むがそれでも寒いので堪らず小屋の中で食事とする。
 小屋は我々以外に単独行のカメラマンだけで貸し切り状態。食事付きの小屋泊まりは、宿泊者も多く小屋が狭いこともあって何回かに分けて食事の様でした。

 翌日も快晴で、360度の展望。北アルプスの槍穂高連峰から遠く真っ白な雪を纏った白馬三山までの眺望に感激。
 富士山は云うに及ばず、甲斐駒に仙丈、北岳、間の岳、農鳥岳、荒川三山に赤石岳、中央アルプスの木曽駒、宝剣岳。
 日本の三千m峰を一望に出来ました。

塩見岳頂上にて記念撮影(澤井さん提供)  来年は、南アルプス三千m峰でまだ登ったことのない聖岳と荒川三山に登りたいと考えています。

 秋の連休と云うことで高速道路は至る所で渋滞、何処まで行っても千円の影響が思わぬ結果を招いているようですが、関西から近いこともあり、聖岳も荒川三山もやはり伊那側から登りたいと思っています。
 三峰川は、林道が奥まで延びていますが、車が入れるのは大曲まで。
 林道が有るお陰で小渋川の様に渡渉の必要は終点まで有りません。何時かは源流を辿りながらのイワナ釣りも良いようです。

 急登の尾根道という触れ込みの塩見新道でしたが、流石に三千m峰の塩見岳、登り概のある良い山でした。
 本当は、雪投げ沢源頭でテント泊をしてみたかったが、体力に自信がなかったことと、季節が晩秋を迎え夕方までに雪投げ沢まで届かないこともあり、小屋素泊まりで行ってきました。
 参加者の皆様本当にお疲れ様でした。また来年もお付き合いをお願いします。

 山行期間:2009年10月10日~12日

  コースタイム

第1日目(10日): 晴れ 稲美町6:00→三木小野IC・名神・東海北陸・中央道伊那IC→市ノ瀬→林道止め15:00(泊)
第2日目(11日): 晴れ 林道止め5:45→大黒沢登山口8:57→休憩3回→塩見小屋13:20 14:00→塩見岳15:10→塩見小屋16:00(泊)
第3日目(12日): 晴れ 塩見小屋4:30→塩見岳5:30→塩見小屋6:45 8:00→大黒沢登山口11:15→林道止め13:15→飯田IC→中央・名神・中国道三木小野IC→稲美町23:00

参加者
  CL雲水・SL大西真・森安・菅・澤井 計 5名