春合宿 立山登山 …… 厳冬期の積雪と強風、悪天候のため途中中止 ……

室堂の登山口  1日目、21:00稲美町駐車場に集合、車2台に分乗し、夜道を出発しました。
 おいしい夕食の食材、おいしいお酒のいっぱい詰まった荷物がたくさんありました。
 日付が変わり夜中の3:00に立山駅の駐車場に到着しましたが、すでに多くの車が仮眠中。
 我々も駐車スペースを見つけて、しばし仮眠。

雷鳥沢へ下る  2日目、5:00起床、準備をして立山駅に行くと、昨日からの積雪で美女平から室堂までのバスが動かないとのこと。
 その影響で6:00始発のケーブルもストップしていました。
 待つこと1時間30分、ようやく動き出したケーブルに乗り込んだのが7:50。
 その後、美女平から高原バスで室堂に向かいましたが、雪の大谷の積雪は例年より2m多い17mとのこと。
 車窓から青空を望むこともできず、白い壁が見えるばかりです。

テント場を整地  約1時間の乗車で室堂に到着すると、すでにたくさんの人たちが登山やスキーの準備を始めていました。
 室堂から雷鳥沢のテン場を目指しましたが、ものすごい積雪で、みくりが池も見あたらず、あたり一面がすっぽりと雪に覆われた真冬の景色が広がっていました。
 10:10テン場に到着し、早速6人用と4人用のテント設営を開始。
 雪面を踏み固め、雪のブロックをスコップで切り出し、周りの壁を作っていきました。
 スコップの使い方、ブロックの積み方にも性格が現れるようです。
 12:10、テント設営完了。
 時間がかかり、この日の登山は中止とし、雪のテーブル作りに変更しました。
 みなさん手慣れたもので、コンロ用の穴が2つある立派なテーブルが完成しました。

雪のテーブルを囲んで  みくりが池への斜面では、Tバーリフトを使ってスキーを楽しむ人、天候の悪い中、真砂岳山頂を目指すグループもありましたが、我々はテントの中でお酒とおつまみでしばし歓談、16:15から夕食のキムチ鍋作りを始めました。
 しばらくするとほんの少しだけ、雲の切れ間から青空が顔をのぞかせてくれました。
 にぎやかにキムチ鍋を食べていると、隣のテントから青年がひとり。
 立派な雪のテーブルとキムチ鍋の匂いに誘われてやってきたようです。
 三木市の青年でした。
 成島さんの「新玉とイカクンのサラダ」も好評で、18:00、明日の登山を期待して就寝。

奥大日が岳  3日目は、3:00過ぎに起床し、4:00キムチ雑炊で朝食。
 各自準備をして5:00出発。
 雷鳥沢から室堂までの登山道はブルドーザーで圧雪されており、一ノ越の途中までは歩きやすい道が続いていました。
 しばらく歩くと大きな雪庇が現れ、今にも落ちてきそうな感じで頭上に迫っていました。
 振り返ると昨日登る予定だった奥大日岳(2611m)に朝日が当たり、きれいな景色にしばし見とれていました。
 ここで雪上に凍死した小鳥を発見。
 1羽はメジロでした。強風で運ばれてきたのか、迷い込んだのか、ついさっき目を閉じてしまったかのような色鮮やかさでした。
 一ノ越までの最後の登りはきつく、強風で何度もストップし、7:05一ノ越に到着。

雄山へ向けて  小休止したあと雄山(3003m)へ向けて登り始めました。
 しばらく急登をアイゼンとピッケルを使い、登っていましたが、強風と寒さが行く手を阻みました。
 先頭を進んでいた森安さんから「アイゼンが効かんわ!」と報告があり、一の越山荘の所まで戻り、しばらく待機していましたが、安全を最優先し、全員で下山することにしました。
 隣のテントにいた三木市の若者は単独で登って行きましたが、富士ノ折立(2999m)からの下山後に話を聞くと、山頂や尾根のあたりは視界も悪く、突風で危険な状態だったとのことです。
 帰りの室堂のバスターミナル掲示板をよくよく見てみると、「厳冬期と同じ状況」「4月の中頃、滑落死亡事故あり」とありました。
 この日は、白馬や槍ヶ岳でも滑落事故や落雷事故があったようです。
 山行での的確な判断がグループの運命を大きく左右するということを認識しました。

一の越へ向けて  9:20雷鳥沢に戻り、今後の予定を話し合い、次の日の天候がさらに悪くなるようなので、一日早く帰ることとしました。
 ここで女性陣、「準備した晩ご飯のミネストローネは食べてー」ということで、昼食には豪華な餅入りのミネストローネ。
 石井さん特性のラッキョウも登場し、おいしい昼ごはんになりました。
 この後、運転があるので、お酒が飲めなかったのは残念でしたが……。

 テントを撤収し、帰りの支度をしながら周りの稜線を見上げてみると、かなりの雪煙があがっていました。
 みくりが池を経由して室堂までの道では、突風で何度も飛ばされそうになりながら耐風姿勢をとりました。
 到着したバスターミナルは、前日と打って変わって大勢の観光客であふれかえり、バス待ちが1時間半。

奥大日をバックに  ついさっきまで白銀の世界にいたはずなのに、ラッシュアワーのような現実の人波に立っていることが不思議な感じでした。
 隣に並んでいたご夫婦と話をすると、長野県からの観光とのこと。
 東北大震災の話題となり、「長野もけっこう長い時間揺れた」ということでした。
 この後、ウェルサンピア立山でお風呂につかり、一路、稲美町へ。

 日付の変わるほんの少し前、雨の稲美町に到着しました。
 最後まで天候には恵まれない山行でしたが、雪山の恐ろしさを知る貴重な体験となりました。

テン場にて  CL澤井さんの談話

 総勢10名で挑んだ春の立山でしたが、入山前の季節はずれの大雪のため除雪で高原バスの発車遅れ!積雪の多さ、予想外の天候の崩れの早さ!厳冬期の山でした。
 2日目頂上をめざしたのですが強風のため頂上手前で、撤退!みなさんの適切なアドバイスのおかげで「安全を選択」。
 登頂はできませんでしたが無事に帰ってくることができました。
 改めて山の恐ろしさを実感することになった山行でした。
 機会があれば再度挑戦します。

 山行日:2011年4月28日~30日

1日目 4/28(木)稲美町21:00→三木IC(山陽道)⇒中国道・名神⇒立山IC(北陸道)→R6→4/29(金)3:10立山駅P(仮眠)
2日目 4/29(金)立山駅7:50(ケーブル)…美女平7:57→8:10(高原バス)→雪の大谷→室堂9:02→雷鳥沢10:10 ※テント設営
3日目 4/30(土)雷鳥沢5:00→一ノ越7:05→雄山 ※8:00強風のため登山中止→雷鳥沢9:20→室堂→立山駅→立山IC⇒中国道・名神⇒三木IC(山陽道)→稲美町23:40


参加者
 CL澤井・SL榎本・塚田・松原・森安・菅・石井・深田・成島・永田(記録) 計10名