秋の連休を利用して、南アルプス南部の主峰聖岳に、易老渡から光岳・茶臼岳・上河内岳を縦走し、2泊3日で行ってきました。 季節も、ダイヤモンド富士が見られる事を期待して、南ア最南部で、しかも百名山の一つ光岳から縦走する事に決めました。 ダイヤモンド富士が見える山としては、9月16日が光岳、9月20日が茶臼岳となっており、残念ながら頂上からの日の出は無理でも、肩からなら見えると期待して出掛けました。 17日の20時出発の予定が、交通事故の渋滞で遅れて出発、順調に中央道飯田ICから矢筈トンネルを目指しました。ナビの指示で細い道を指示され、トンネルまでクネクネ道の連続。トンネルからは秋葉街道を順調に走り、日本のチロルと呼ばれている秘境遠山郷下栗地区も抜け、北又の発電所を過ぎ易老渡に到着。 すでに30台以上の満車状態、運良く奥に1台分のスペースを見つけ、テント設営後、直ぐに就寝。 |
空が明るくなり起床、駐車場を見回せば、遠くは四国や東北ナンバーの車も停まっている。この奥の便が島も満車でしょうね。 朝食を済ませ6時半出発。吊り橋を渡れば直ぐ斜面の急登となる。我々以外にも2~3パーティに数名の単独行者等、人気の程が窺える。 植林の斜面をジグザグに250m登れば顕著な尾根に出る。後は視界のない尾根をひたすら登るだけ、中高年の団体などを追い越し面平と云う広葉樹の混じった平坦な広場で一本。 登り一本調子の尾根が続くが、2000m辺りから聖岳方面の展望があり慰められる。 傾斜が少し緩やかになると、2264mの三角点に到着。以外に若いパーティもいる。ここを越せばあと僅かで易老岳だ。 自然林の明るくなった広い尾根を登り切り易老岳の主稜線に到着。ここにも数名の登山者。 今日は、右へ光岳に向かう。明日は、ここまで登り返し、茶臼岳への尾根を辿る。 |
2354m易老岳から2200mの三吉平まで針葉樹林帯の中の降り、途中に三吉ガレと呼ばれている所では、西側の展望所だが、ガスのため遠望は無し。 三吉平からイザルヶ岳まで県境になっているのだが、静岡県側の信濃俣河内が、長野県側の静高平まで回り込む様な地形となっている。 河川争奪なのか、二重山稜なのか、不思議な地形です。当然三吉平は、湿地帯のようで、少し沢を下れば水の確保が出来そうです。 ここから登山道は、長野県側の信濃俣河内の源流を登る。疲れた身には些か辛い標高差300mのガレ沢です。 暗い沢状から静高平と呼ばれている開けた所に着く。ここには美味しい湧き水がありました。 「水が出ている時は、汲んでください。小屋ではお分け出来ません。」との光小屋からのお願いが水場に書かれています。 我々もここで水を汲んで行きましょう。ザックが少し重くなりましたが、小屋まで15分頑張りましょう。 少し行くとイザルヶ岳分岐、ザックを降ろし空荷で往復。ガスのため視界はほとんど無し、光岳の頂上の直ぐ下に小屋が見えます。 気持ちの良いセンジヶ原の木道を歩き、光小屋到着。綺麗な小屋です。 |
定員40人の所に50人以上の宿泊者、割り当ては少し窮屈。場所の確保を済ませ、光岳頂上へ向かう。ほんの少しで視界の無い頂上です。入れ替わり立ち替わり次々と登山者が現れ記念写真。 直ぐ傍の展望台へ行くがここでも視界は無い。暫く待ってみるがガスの取れる気配すら無し。元気な大西さん、菅さん、石井さんの三人は、山名にもなっている「光石」を見に下っていった。 下から声が聞こえるが姿は無し、早々に引き上げ夕食の準備、本日の献立は、焼肉丼とワカメスープ。 少し寒いがビールで乾杯。天気予報では、明日は曇りとのこと、テンションが下がります。 終わり頃になって雨がパラパラ、宴会モードを切り上げ小屋に入る。 小屋は満員ですが、トイレも近いし綺麗。明日の天気も気になりますが、取りあえず就寝。なかなか寝られないぞ。 |
夜中にトイレに起きると外はガスが掛かり日の出は期待薄、少しがっかり。 朝4時、小屋の灯りが点り、綺麗な自炊部屋でお湯を沸かし簡単に朝食を済ませ、出発準備。石井さんの「富士山が見える」の声、まさかと思ったが本当だ。慌てて外に出る。 雲が少しあるものの黎明の空にクッキリと姿を見せる富士山。雲海に浮かぶ山々も見渡せる、予想に反しての夜明けを迎えようとしている。 この時期の日の出は、5時35分頃。イザルヶ岳の頂上まで早足で歩けば間に合うだろうとセンジヶ原の木道を進むが、前の団体がゆっくりと進みイライラしながら後に続く。 分岐点でこの団体を追い越し、息を切らせて頂上へ駆け上る。すでに大勢の登山者が日の出を待っている。 段々と空が明るくなり、朝日に雲が茜色に輝く。頂上の雲の間から後光が差している。富士山の頂上から日が昇るのを「ダイヤモンド富士」と呼び一年に二度しか見ることが出来ないのだ。 今朝は少し南の肩越しに出てきそうです。 そして遂にその時を迎える。一瞬山肌が光ったかと思うと、みるみる大きくなり、あっという間に富士山の背後からその姿を現した。 振り返れば、光岳と光小屋が朝日に照らされ赤く輝いている。登山者の間からも歓声が上がる。なんと荘厳な光景だろう。本当に幸運な御来光を迎えることが出来ました。 |
御来光を見たため、予定が30分遅れとなる。分岐に戻り昨日の易老岳まで戻り、縦走を続ける。 相変わらず樹林帯の中だが、時折展望が開け目指す喜望峰が高く聳えている。 なだらかな稜線が続き最低鞍部から再び登りとなる。振り返ると光岳や光小屋が随分と遠くに見える。 苦しい登りに堪えて喜望峰に到着。疎林の山頂ながら展望があり、数パーティが休んでいる。ここは、光小屋と聖平小屋との中間点の様だ。 元気な菅さんと大西さんは、仁田岳を往復。残りの軟弱組は、茶臼岳で落ち合うことを約束して、先を急ぐことにする。 喜望峰からの降りは森林限界を抜けたようで、開けた稜線歩きと変わり左右の展望が開ける。 目の前には、茶臼岳、その先は上河内岳、更に聖岳までが見渡せ気分爽快。足が軽く感じる。 稜線上の仁田池は、水を湛えているが、汚染が進み飲めないと注意書きがある、夏ならお花畑でしょうが、今の季節は花が少ない。暫く登ると茶臼岳に到着。 |
驚くことに我々が登って暫くすると、仁田岳を往復した二人が早々と登ってきた。全員揃ったところで記念撮影。更に縦走を続ける。 茶臼岳を降ると茶臼小屋への分岐となる。今年の夏合宿で行った畑薙ダムの沼平茶臼岳登山口から吊り橋を渡って登ると、この稜線に出るのだ。 日差しが暑く感じられるが、風もあり涼しい。二重山稜の稜線は、何処でもテントを張れそうな広い窪地です。 ハイジの丘で一休みして、再び登りとなる。尾根も岩が多くなり、傾斜も増してくる。そんな中珍しい岩が在った。奇岩竹内門と云うそうだ。 本日の最高点である上河内岳の登りは、ガレ場の急斜面。頑張って登り上河内岳の肩に到着。空荷で頂上往復。 頂上からは、北に聖岳、その後に赤石岳、さらに悪沢岳。南は、茶臼岳から喜望峰、光岳から加加森岳までが一望、勿論東には、富士山。ここは、南部きっての展望台の様だ。 合宿では見えなかった景色が見えます。皆さんには申し訳ないが写真でお許しを。 |
ここからは、下に見えている聖平小屋へ尾根を降るだけでしたが、予想に反して、思ってた以上に時間が掛かり、ヘロヘロになりやっと聖平小屋に到着。 受付けでは、最終日のため宿泊者にはビール一本サービスしますと聞き嬉しくなるが、素泊まり5000円。ネットで調べていた値段より1000円高い、寝袋持参ですと交渉するも、全て同じとの返事が。 ん、ビール一本が千円!。まあ良いか!。 昨日の光小屋と違い宿泊者は少なくゆったりと寝ることが出来た。 夕食担当は石井さん、ベーコン入りビーフンとオニオンスープ。ビールとワインで乾杯。 澤井さんは、聖からの日の出を撮ろうと4時出発、残りは予定どうり5時出発。薊畑から少し登ると丁度日の出となるが、昨日より左側の雲の間から出ました。 小聖岳まで来ると澤井さんが待っていて、そこから一緒に行動。尾根も岩が多くなり、傾斜も増してくる。風が吹き寒い中ガレた斜面をジグザグに登り頂上へ到着。 南アルプス三千米峰最南の聖岳にやっと登れました。 頂上からは、北に赤石岳、その遙か後に仙丈ヶ岳、塩見岳も頭だけが見えます。(BBSのパノラマ写真を参照) |
薊畑に戻り、西沢渡まで尾根を降るだけですが、途中2箇所崩落で急な斜面を降る場面もありましたが、標高表示板があったので思ってたより短時間で西沢渡に到着。 ロープウエイを利用して対岸へ渡ったが、木の橋も架けてあります。 沢で汗を流し、コーヒーを呑んだりとゆっくり寛ぎました。 沢沿いに昔の森林軌道跡の林道を歩き、便ヶ島へ。車でも楽に走れる道路を易老渡まで戻りました。 帰りに遠山郷の神楽の湯で入浴後、飯田ICより大渋滞に巻き込まれましたが、日付が変わる前に無事稲美町へ帰ってきました。 南アルプスの三千米峰を全て登ろうと計画しました。仙丈ヶ岳に始まり、北岳、中白根岳、間の岳、西農鳥岳、農鳥岳、赤石岳、小赤石岳、塩見岳、と登って来ました。そして今年は、悪沢岳、中岳、前岳と聖岳を登りました。 南アルプスの山は大きく、登るには相当の体力がないと難しい山です。 出来ることなら、北岳バットレス第四尾根と鋸岳にも挑戦していきたいと考えています。 他のメンバーの記録は、 ここを クリック |
参加者 CL雲水・澤井(記録)・大西真・菅・石井 計5名 |