数年前から何度も計画したが何故か実現しなかった大峰山系釈迦ヶ岳南面に突き上げる滝川本谷の本流とも言える赤井谷を遡行して釈迦ヶ岳に登り、奥駈道を南に大日岳・太古辻と縦走し、奥守岳と地蔵岳との鞍部「嫁越峠」からドウの谷へ降り本流を戻る計画です。 大峰の沢としては1級のグレード、大きな滝も無くナメと釜の美しい沢、天気も上々。参加者5名で早朝稲美町を出発、南阪名葛城ICから五條市を経由してR168号を南下、風屋ダムから滝川沿いに花瀬の不動滝付近に駐車、装備を調え宗教施設の橋の手前から入渓。 道すがら日本百名滝の一つ「笹の滝」も在り帰りに見に行く予定。 滝川本流の遡行も釜とゴルジュの素晴らしい渓谷で、真夏ならゴルジュの突破や釜の泳ぎが楽しめると何処かの記録に出ている。 |
第1日目 林道終点手前の路肩に車を停め、少し進むと沢に降りる階段があり釈迦ヶ岳の案内板に導かれ降ると鉄製の立派な橋を対岸へ渡る。沢遊びに来ている家族連れが河原にいた。挨拶を交わし対岸に付けられて階段を昇り返す。整備された歩道が川上に向かって延びている、以前からあった内原からの花瀬道だろう。暫く進むと発電設備が在り、この辺りは宗教施設の様だ。 施設への橋の手前から沢に降りる。思ったより水量は少ないようだ。磨かれた大きな岩が点在し縫うように進む。 日帰りの沢しか経験の無い美智子さんは、宿泊装備を担いでの沢登りは初めて。ザックの重さが災いしたのか少し遅れ気味、仲間に助けられながらも頑張って付いてきた。 水温の冷たさは無く快適そのものである。 時々大きな釜が現れも簡単に通過。 |
時折魚影が走るので竿を出してみるが反応は無い。 暫くはゴーロが続く。沢を跨ぐようにワイヤーロープが張られた所で左岸から沢が流れ込む、明日降る予定のドウノ谷である。ドウノ谷出合を過ぎると徐々にではあるが滝が現れる。 ヘツリや石飛び、徒渉を交え快適に遡上、中州やインゼルを過ぎると崩れかけた橋や手すりまで付いた桟道が現れ、沢に沿って杣道らしき跡もある。 入渓時刻が遅かったこともあり計画の時間より大幅に遅れている。 計画では、千丈平まで行く予定であったが水量があまりに少なく、千丈平での水の確保が心配で上流部の二俣付近で泊ることに変更したが、まだ辿り着けない状況になった。 暗くなる前にビバーク場所を探しながら遡行を続ける。 少し広い場所が在り、整地すれば何とか寝ることが出来るので本日のねぐらに決める。 手分けしてタープを張り、夕食の準備に取りかかる。 |
流木も豊富にあり焚き火の準備も整う。 本日の食当は美智子さん。夏合宿や四国山行で評判の良かった「ミネストローネ」。 私の希望で、焚き火で焼いた焼きナスとジャガイモのホイル包み焼きも加わり豪華な食事でした。 明日の天気も上々。お月さんも満月。沢の中でも木々を透かして明るい。 アルコールも加わり話に花が咲く。沢登りには欠かせない焚き火を囲み、濡れた衣服を乾かす。 黒部ではテントでの泊まりだったので、久しぶりのタープ、広々としてしかも涼しい。 明日は源流部を詰め、長い奥駈道の縦走が待っています。 |
第二日 快晴 早めに出発。ここから上は小さいながらも滝が現れ、沢いっぱいに拡がったナメを楽しみながらグングン高度が上がる。 前日泊予定地の二俣を過ぎ、深仙の宿からの沢の出合で一本立てる。 ナメ滝や小滝が続きいよいよ源流部に到達。水も切れることなく流れている。 傾斜もきつくなり流れも細くなる。トユ状の滝を越えるとガラガラの沢となり、水を汲みクマザサの尾根を這い昇ると、釈迦ヶ岳のトラバース道に出た。 左へ少し行くと広々とした樹林帯の中の千丈平に到着。 心配していた水場も僅かではあるが湧き出していた。 沢装束を縦走様に替え頂上を目指す。 平日で誰とも会わないと思っていたが、さすがに人気の釈迦ヶ岳二組と行き交う。半時間ほどで一等三角点の釈迦ヶ岳山頂に到着、弥山方面から南の玉置山まで一望、これから辿る南奥駈道、大日の岩場もハッキリと見えた。 釈迦ヶ岳で暫く休憩、笹に覆われた奥駈道を深仙の宿まで一気に降る。 大日岳の行場で鎖に掴まり修行にも挑戦、前鬼川や五百羅漢と呼ばれている岩塔群も一望絶景を楽しみ巻き道を分岐まで戻り縦走を続ける。 |
分岐から僅かで前鬼へ降る太古の辻を左に分け、私にとっても初めての南奥駈道を進む、岩尾根を巻いたり昇ったり、小さなアップダウンが続く。 世界遺産に登録され辿る人が増えたとはいえ、気をつけていないと道を外し藪漕ぎを強いられる。 石楠花に覆われた道や草原の道を辿り天狗岳を越える。 奥守岳のピークを越えると一気に高度が下がり下山予定の嫁越峠に到着、昔の峠道がドウノ谷へ降っているはずだが今は廃道になって久しい。 道標には 悪路 と書いてあるが、踏み跡すら消えているようだ。 |
時刻も遅くなっているので暗くなる前に本流まで下りきらなければならない。地形図には点線でルートが記載されているが実際はただの笹原斜面。 地形図を参考に獣道を探しだし尾根に沿ってトラバースを開始、人間の習性として昇るより降る方が楽なのでどうしても降ってしまう。沢を渡るときに対岸の踏み跡を探しそれらしき道跡を辿るが3本目の沢のトラバースでは崩壊のため終いに道をロスト。 薄暗い樹林帯の中では探し出すのは至難の業、このまま尾根を降ることに決め岩場を避けながら降る。ドウノ谷に近づくにつれますます急になる。 薄暗い樹林帯の中立木に掴まりながらの下降、間違って枯れた立木を掴もうものなら転倒間違いなし。 明るい内にドウノ谷へ降りることが出来たのだが、沢を降るので慎重を期して沢靴に履き替える。 ガラ沢もいつしか水が流れ出し沢らしくなった頃立木にテープを発見、よく見ると沢に沿って古い杣道がある、この杣道を降ると程なく赤井谷出合に出る。 |
昨日確認していたとおりワイヤーの張ってある出合に出ることが出来ほっとする。 暫く休み、立派な杣道を降り、日暮れ迄に入渓地点まで戻ることが出来た。 旧花瀬道の橋を渡り、車を停めた林道まで無事戻る。時間も遅いので「笹の滝」見物を諦め、温泉へ直行。 初級の沢という触れ込みの赤井谷でしたが、流石に大峰の沢、意外と時間が掛かり最後の降りも時間に追われる結果となりました。 参加者の皆様本当にお疲れ様でした。美智子さんこれに懲りずに又挑戦してください。 |
参加者 CL雲水・SL藤原公・森安・菅・深田 計 5名 |